チベット修行会③ マナサロワール湖 後編

朝から気持ちのいいお天気でした。高山病予防の薬の利尿作用と、マッサージのおかげでいらないものを全部出しきった感じでした。夜に4回もトイレに起きてよく眠れなかったにもかかわらず、昨日までとはうって変わって、久しぶりにしゃきっと背筋が伸びたようです。沐浴させてもらおう!

車で15分程行った湖畔にテントを張り、アグニホトラ(護摩行)が行われました。それに先立って、慧心先生が聖水を汲みに湖に入って行かれました。祈るような思いで戻って来られるのを待っていました。

儀式の後、今度は私たちの番です。沐浴のため、ダウンジャケットの下に重ねて着ていた水着になって、ゆっくり裸足で入って行きます。昨日なら無理だったのに。ありがとうございます!「砂地のところまで行きなさい」先生の声を頼りに黙々と進み、冷たい水で緊張しながらも、「あ、砂になってきた、ここでいいですか?ここですよね?」頭まで潜ってからカイラスに向かっておじぎをすること3回。潜ってるその一瞬に方向がわからなくなり、ありがとうございます!の思いだけで、回数を数えるだけで精一杯でした。

ゆっくり戻ってきて水から全身が出た瞬間、まるで着ぐるみをがばっと脱がされたような解放感で満たされました。本当にすがすがしい感覚、今まで経験したことのない、一生分の罪や穢れが洗い流されると聞いていましたが、私にとっては要らなくなった全てがそぎ落とされたような感覚でした。体がひとまわりもふた回りも小さく細くなったような、でもこれだけで十分、これが新しい私という感じで、ただただその状態を受け入れ味わっていました。慧心先生に心からお礼を申し上げ、ガイド長のカイラさんに本当にありがとうございますと言いに行きました。カイラさんも、「本当に良かったですね、太田さんが沐浴できたなんて」と言いながら、「じゃあ、今度は山が見えるところまでがんばりましょう。」と言われました。後で気づいたら、誰もそんな励ましはもらっていなかったのです。